収穫直後のホップを、川越でその日のうちに仕込む

2021年から続くコエドブルワリーのフレッシュホップビール。今年も醸造を担当した五島氏が、国産ホップの魅力と製造の舞台裏を語りました。

主に使用したのは、山梨県北杜市の小林ホップ農園が育てる「HKTS02」。シャインマスカットを思わせる香りに加え、草原のようなグラッシーな爽快感を持つ品種です。フレッシュホップとは、乾燥やペレット加工を施さず、摘み取った状態のホップをそのまま使うもの。収穫後に時間が経つと酸化によって苦味の印象が変わるため、鮮度の管理が重要になります。

今年は豪雨や台風でホップ棚が倒れる場面もありましたが、農家の小林氏が修繕と対策を重ね、無事に収穫。五島氏らは朝日が昇る前から産地へ向かい、収穫したホップを川越の醸造所へ運び、その日のうちに仕込みました。仕込み量を前年の3倍に増やしたことも、今回の大きな挑戦だったといいます。

セゾンで表現した、スパイシーな個性

昨年は収穫時期を遅らせ、リナロール由来のトロピカルでシャインマスカットのような香りを狙いました。一方、2026年はスパイシーなアロマを中心に引き出すため、香りのピークに合わせて収穫。HKTS02のスパイシー、グラッシーな香りが、セゾン酵母由来のエステル香やフェノーリックなキャラクターと好相性だったことから、これまでのフレッシュホップにはなかったセゾンに挑戦しました。

仕上がりは、フレッシュホップを主役にした「ホッピーセゾン」。ややドライな飲み口の先に、ホップのスパイシーな香りが現れる設計です。ペアリングには、香りの強いスパイス料理よりも、カルパッチョやマリネのような穏やかな味わいの料理が向いているとのこと。優しい白ワインを合わせる感覚で楽しめます。

飲む際はチューリップ型のグラスがおすすめです。冷えた状態ではホップの香りが前面に立ち、温度が上がるにつれて酵母由来のエステル香が重なります。時間とともに変化する香りを楽しめる一杯です。

コエドブルワリーは埼玉県東松山市を拠点に、地域性や素材の個性を生かしたビール造りに取り組んでいます。北杜市のホップ農家と醸造家の協働から生まれた今年のフレッシュホップは、国産ホップの新たな表情を伝える季節限定のビールです。