二兎醸造が公開した新商品『DARK VIENNA LAGER WITH WASABI & SHOYU』は、2026年に始動した「花札」ラベルの特別企画に連なる一本だ。4月の花札「藤にホトトギス」をテーマにした花札シリーズ第四弾として位置づけられ、360ml缶と6本パックで販売されている。

今回の特徴は、滋賀の老舗・水谷醤油醸造場の醤油を使っている点にある。創業170年の歴史を持つ地元の醤油を取り入れ、ダーク・ウィーンラガーの穏やかなコクに、わさびの微かな風味と醤油の深い旨みを合わせた設計だ。香りや苦味を前面に押し出すのではなく、和の食材が持つ輪郭を静かに重ねている。

二兎醸造は滋賀県近江八幡市に拠点を置き、近江八幡の八幡堀や琵琶湖に近い場所で醸造を続けているブルワリー。社名は「二兎を追う者は一兎をも得ず」に由来し、幅広いスタイルを通じて「Beer for everyone」を掲げる。欧州の伝統とオーストラリア、ニュージーランド、米国の新しい醸造文化の両方に影響を受けながら、地元の小麦や山椒、柚子、金柑なども取り入れてきた。

そうした背景を踏まえると、この新作は単なる変わり種ではない。滋賀の素材とラガーの骨格、そして花札という日本的なモチーフを一つの缶に収めた、二兎醸造らしいローカル志向の提案と言える。和食との相性を意識したビールとして、食卓に置いたときの広がりも気になる一本だ。